我が国は大量の海外資源を輸入し、高付加価値製品を製造し、国内で消費すると同時に国内インフラを整備し生活の利便性を高めています。更に製品を輸出し外貨を獲得しています。その間で発生する廃棄物量は莫大であり、やがて廃棄物となる運命のインフラ設備や自動車、電機製品などの量は増加の一途にあります。

今こそ3R(Reduce, Reuse, Recycle)社会の実現が必要であることは、国民のコンセンサスとなっています。又これらの活動成果から得られた知見は国際的にも移転され、活用されれば、地球環境の改善と人類の持続的発展を促す可能性を有しています。まさに循環型社会の形成に取り組むことが重要な目標となっています。

しかるに現状は再利用が十分に進んでいるとはいえません。そのために我々は多くのことを実行し解決していかねばなりません。それには技術進歩、生活改善、製品寿命延長などが多々ありますが、それらのすべての課題のなかで表裏一体となっているのが、地球環境の保護、改善集修復問題です。

我々の世代だけで地球資源を枯渇させてはいけません。次世代へ継承する役割があります。又同世代でも貧富差が大きすぎ、不平等が不満となって社会不安を招いてもいけません。つまり継時性と共時性を同時に追求し実行する責務を負っているのが我々であります。近年の科学技術の進歩と市民の要求の多様性から、社会で取り扱われる製品、商品は多様化、複雑化し、その寿命も短くなってきている。

一方地球資源の有効活用、保存保護による「Common Earth」の概念は広く市民に理解され、ノーベル平和賞の マータイ氏の表現を俟つまでもなく「モッタイナイ」は世界の共通語となってきている。技術に優れ、産業経験の豊かでかつ資源に乏しい我国はこの領域で世界をリードする立場にある。つまり製品の「ワイズユース」が「もったいない」という概念を体現するものであります。

今回発足した日本リユース機構は、上記理念を実業の場で具体的かつ適正に実行する団体であります。前述3Rはどこが欠けてもいけません。製品安全性、環境負荷減少は永久の課題であり、エンドレスな挑戦が必要であります。従って産業製品を扱う役割として流通者(販売者、リサイクル者)の役割も重要となってきます。何故なら、流通者が新製品取り扱いに限定してしまうと、余命があり、別の空間では使用価値のある物資が廃棄物に定義され、区分けされ、地球資源の使用効率が低下するからです。従って流通者は安全及び環境負荷軽減の上でその責務を果たす存在でなければなりません。

これまでの業界で行われていたマイナス面を是正し、近代化、適正化に果敢に取り組み、その責務を果たすために発足したのが日本リユース機構であります。室町末期に本阿弥光悦と俵屋宗達の出会い協力が、完璧な融和と名品を生んだように、本機構が諸兄に出会い、絶えざるご支援とご鞭撻とによって成長発展し、未来の地球市民によいシステムと環境とを提供出来るよう願っております。

一般社団法人 日本リユース機構 名誉代表 藤田 慶喜